※本文中では読みやすさを優先し、敬称を省略して記載しています。どうぞご了承ください。
M-1グランプリ2025、激戦を制したのは「たくろう」でした。
彼らの漫才は、一見すると不器用で独特な空気に包まれていますが、その裏側には緻密に計算された「笑いのロジック」が隠されています。
なぜ彼らのスタイルが、現代のM-1で爆発したのか。
王者のネタを解剖し、その強さの正体に迫りますので、最後までお楽しみください!
言語化不能な魅力「挙動不審漫才」の構造

たくろうの代名詞といえば、ボケの赤木さんが見せる「挙動不審漫才」です。
この芸風は、観客に「次に何を言い出すかわからない」という心地よい緊張感と期待感を与える究極のキャラ漫才です。
一般的な漫才が「振りとオチ」のテンポで進むのに対し、たくろうは赤木さんの「状況を理解できていない表情」。
「小声の独り言」自体を笑いのポイントに設定しています。
M-1の舞台でも、きむらバンドさんが戸惑う赤木さんを誘い込み、さらに混乱が深まる構図が、これまでにない爆発力を生んでいました。
初めて見た時、赤木さんの視線の泳ぎ方に釘付けになりました。
演技なのか素なのか判別できない絶妙なラインが、観客の目を離させない「磁力」になっていると感じます。
審査員を唸らせた「4秒の間」の魔力

今回の優勝で多くの専門家が指摘したのが、ネタ中に組み込まれた「間」の使い方です。
たくろうが駆使した「4秒の間」は、ハイスピード化する現代漫才に対するアンチテーゼであり、最強の武器となりました。
近年のM-1は手数(ボケ数)の多さが重視される傾向にありましたが、たくろうはあえて沈黙を作ることで会場の空気を一変させました。
無音の数秒間が、次にくるボケのハードルを上げるのではなく、逆に「溜め」となって大きな爆笑に繋がったのです。
これは赤木さんの、キャラクターへの信頼があってこそ成立する技術です。
テレビの前で見ていて、あの数秒間の沈黙にゾクゾクしました。
静寂を味方につけて笑いに変える姿は、まさに王者の風格そのものでした。
ボケを引き立てる「きむらバンド」の超絶技巧

赤木さんの個性が注目されがちですが、相方のきむらバンドさんのツッコミなしに優勝は語れません。
きむらバンドさんのツッコミは、観客の「心の声」を代弁し、シュールな世界観を地上に繋ぎ止める「情報の架け橋」です。
赤木さんの支離滅裂な言動に対し、強すぎず弱すぎない絶妙なトーンでツッコむことで、ネタが不快感を与えず、純粋な笑いに昇華されています。
特に赤木さんのボケを優しく肯定しつつも困惑する姿は、コンビとしてのバランスを完璧に保っていました。
赤木さんという「猛獣」を、きむらバンドさんが見事に乗りこなしている印象です。
二人の信頼関係があるからこそ、あの危うい空気感が最高のエンターテインメントになるのだと確信しました。
まとめ

たくろうの優勝は、独自の「挙動不審」スタイルを磨き上げ、トレンドとは真逆の「間」を使いこなした戦略の勝利でした。
緻密な計算と野生の勘が同居する彼らの漫才。
これからのお笑い界に新しいスタンダードを提示したといえるでしょう。
気になる記事はこちら~

コメント